葬儀社を通さず、家族の手で見送る。法光寺の「原価で葬儀」という選択

「葬儀って、本当にあんなにお金がかかるものなのだろうか」

住職として日々ご葬儀に立ち会う中で、ずっと感じてきた疑問です。法光寺では、葬儀社を介さずにお寺が葬送のすべてをお手伝いする「原価で葬儀」を、7年ほど前から行っています。今回はその中身を、実際の打ち合わせでご家族にお伝えしていることをもとに、正直にお伝えします。

法光寺の山門
目次

■ 葬儀の費用は、なぜ高くなるのか

法光寺の本堂

ご家族が葬儀社に依頼した場合、家族葬や一日葬でも見積もりは150万〜160万円ほどになることが珍しくありません。会員の積立金などで20万〜30万円の値引きがあっても、最終的なお支払いは120万〜130万円前後になるのが一般的です。

一方、法光寺の「原価で葬儀」では、一日葬で税込およそ33万円(15名参列・スタンド花5台・お食事代込みの場合)です。この差額のほとんどは、「本来は誰にでもできる作業」を葬儀社がまとめて請け負っている分の手数料なのです。

■ 「原価で葬儀」の3つの約束

ご安置するお堂の内陣
  • お寺は葬儀代から利益をいただきません。 お花屋さんやお弁当屋さんなど、実際に利用した業者へ実費をお支払いいただきます。お寺にはお布施のみをお納めください。
  • 施設利用料はいただきません。 お寺の小さなお堂にご安置しますので、故人様と対面してお過ごしいただけます。冷却はドライアイスと専用の保冷剤を使うため、ご安置の日数分の実費のみご負担いただきます。
  • 戒名の種類でお布施の目安は変わりません。 院号なども一律です。

■ 費用の目安

棺とお花、ろうそくを整えた祭壇
  • A.通夜と葬儀を一日で行う 原価 税込約33万円(15名参列・スタンド花5台・食事代込)
  • B.通夜と葬儀を二日で行う 原価 税込約38万円(15名参列・スタンド花5台・2日分の食事代込)
  • お布施の目安(ご葬儀時) 38万円〜53万円(初七日忌法要のお布施を含む)
  • 塔婆料は1基3,000円です

葬儀にかかる費用は、その都度現金でお支払いいただき、領収書をお渡しします。事前に葬儀代の概算をお預かりし、預かり証を発行したうえで、終了後に精算する形にしています。なお、市原市にお住まいの方は、葬儀後に会葬礼状を市役所へ持参すると葬祭費として5万円の補助を受けられます。

■ お寺が担当すること・ご家族にお願いすること

法光寺本堂で読経する住職

「原価で葬儀」は、いわば手作りの葬儀です。やり方はお寺がマニュアルでお伝えし、専門的なことはプロが担当します。そのうえで、葬儀社が代行している「誰にでもできる作業」をご家族に動いていただきます。

お寺と専門家が担当すること

  • 搬送車の手配、火葬場の予約(お寺しかできないためお引き受けします)
  • 葬儀当日の司会進行と読経
  • 納棺師による納棺・旅支度(白装束は納棺師が持参します)
  • ドライアイスの保管用の専用冷蔵庫、運搬用の容器と手袋のご用意
  • お花屋さん、お弁当屋さん、写真店などのご紹介

ご家族にお願いすること

  • 死亡届を市役所に出して火葬許可証を受け取る(提出前に必ず10部コピーを。後の銀行や年金の手続きで必要になります)
  • ドライアイスを調達し、1日1回、故人様に当てる(販売店は土日休みなので、週末をまたぐ場合は金曜までに数日分を購入します)
  • スタンド花を、お花屋さんに直接電話で注文する(1基16,500円ほど。前日夕方の搬入に立ち会います)
  • 遺影写真を写真店で作る(額はお寺が原価2,600円ほどでご用意します。葬儀社経由だと2〜3万円かかることもあります)
  • お斎(火葬の間のお食事)を、パンフレットから選んで業者に電話で注文する(火葬場に直接届き、お茶出しの担当が1名つきます)
  • 納棺の前に、本堂に保管している棺をお堂まで運ぶ(男手2〜3人が必要です)
  • お別れの花入れに使うお花を、ご家族で切って準備する

正直に申し上げて、手間はかかります。けれども、その「面倒」なひとつひとつが、故人様を偲ぶかけがえのない時間になります。棺を担ぎ、花を切り、お弁当を選ぶ。そうやって家族が自分たちの手で見送った葬儀は、あとから振り返ったときに深く心に残るものです。

■ 打ち合わせから当日までの流れ

本堂に祭壇と供花を整えた葬儀の様子
  1. ご逝去のご連絡 何時でも構いません。すぐにお電話ください。
  2. お迎え・ご安置 お寺の小さなお堂か、ご自宅にご安置します。
  3. 打ち合わせ ご家族・納棺師・火葬場の3つの予定を合わせて日程を決めます。故人様のお人柄や思い出をじっくりお聞きし、そこから戒名とお経文を選びます。
  4. ご家族の準備 上に書いた手配を、金・土・日などの空き時間で進めていただきます。
  5. 納棺 葬儀の前日か前々日に、納棺師がご自宅やお堂で旅支度を整えます。
  6. 葬儀・初七日法要・花入れ 読経のあと、お花と一緒に故人様へのお手紙を棺に納めます。
  7. 出棺・火葬 火葬場でお斎をとりながら、1時間半ほどお待ちいただきます。
  8. 納骨 当日の納骨はできません。火葬直後の骨壺は熱く、麻袋に移すと焦げてしまうためです。四十九日ごろに改めて納骨します。

■ 故人様へのお手紙をおすすめしています

棺にお花を納める花入れの手元

亡くなった方は、言葉や、気持ちのこもった文字を感じ取ることができると私たちは考えています。「ありがとう」の一言でも、便箋5枚でも構いません。書きたい方が、誰にも見られない一人の時間に書いてください。花入れのときに棺に納め、一緒にお送りします。

■ ご家族ご自身のことも、どうか大切に

観音像の前で手を合わせる親子

身近な方を亡くしたときの心の衝撃は、ご本人が思っている以上に大きなものです。私はよく「時速55キロの軽トラックにはねられたのと同じくらい」とお伝えしています。判断力が落ちたり、口調がきつくなったり、逆に黙り込んだりするのは、心が自分を守ろうとする自然な反応で、病気ではありません。

一人でいる時間をできるだけ減らし、ご家族やペット、誰かと一緒に過ごしてください。良質な水をたくさん飲み、温かい豚汁を食べて、いつも通りの用事をこなす。それだけで、心は少しずつ整っていきます。

■ どんな方に向いているか

観音像と樹木葬墓苑
  • 参列者が20名以下の小規模なご葬儀(20名を超える場合は葬儀社にお願いするほうが便利です)
  • 子ども世代に、できるだけ負担や出費を残したくない方
  • 小さな葬儀でも、しっかりと故人様を見送りたい方
  • ご家族の中に、当日動ける方が2〜3人いらっしゃるご家庭

※法光寺以外のお寺の檀家となっている方、また檀家資格を継承予定の方のご葬儀はお受けできません。

■ 「もしも」の前に知っておいてください

境内に咲く季節の花

病院で亡くなられた場合、ご遺体の搬出を急かされる中で冷静な判断をするのは難しいものです。その場で待機している葬儀社にそのまま依頼し、高額な契約を結んでしまうケースを何度も見てきました。

「原価で葬儀」という選択肢があることを、元気なうちに、ご家族で一度話しておいていただければと思います。ご入院の段階でも構いません。まずはお電話でご相談ください。

■ お問い合わせ

四天王山法光寺の看板

法光寺(あま茶寺) 電話受付時間 9:00〜16:00
0436-36-1834

詳しい流れは「原価で葬儀」のご案内ページをご覧ください。

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